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『コップのフチ子』は水槽の話から生まれた!?

販売累計1100万突破! 大ヒットカプセルトイ誕生のウラ話

 「なんだかんだで儲かっている業界は、女性の心を掴んでいると思います。そもそも、男性に比べて女性の方が圧倒的に買い物をする回数が多いですし、絶対に女性を外してはいけないんですよ」(古屋氏)

 当初の生産数は13万個。初期ロットとしては多いが、クオリティにこだわった結果、ペイできるラインがこの数字だった。

 かくして2012年7月に発売された『コップのフチ子』は、わずか1週間で10万個を売り上げ、2013年4月には100万個を突破。たちまち大ヒット商品の仲間入りを果たした。この要因として「SNSによる拡散」が挙げられる。

 『フチ子』を買った人が、実際にコップに引っ掛けて撮影し、TwitterやFacebookなどにアップする。そして、さらに写真を見たユーザーが「リツイート」や「いいね!」を繰り返し、『フチ子』は爆発的に周知されていった。

 「カツキさんは最初から『つい写真に撮りたくなる』『SNSでの拡散』といった意識を持っていたそうですが、僕はそこまで考えていませんでした。でも、原型ができたときに『これはたしかに撮影したくなる!』と確信しましたね」(古屋氏)

『コップのフチ子』原案者のタナカカツキ氏と旧知の間柄ふなっしーとのクロストークも収録された著書『コップのフチ子の作り方』が発売中

 古屋氏は著書『コップのフチ子のつくり方』(PARCO出版)をはじめ、多くのメディアで「『フチ子』は誰からも愛されるコミュニケーションツール」と語っている。

 「『フチ子』によるコミュニケーションは、SNSなどのネットを介したものに限らず、リアルの現場も含まれます。たとえば、飲み会で誰かがスッと出せば『何それ!?』と食いつき、それで話が盛り上がる。そして、初めて『フチ子』を見た人が撮影して、さらにSNSにアップして……といった、ネットとリアルの好循環が生まれたのだと思います。ただ、今時のコミュニケーションって、若者を中心にスマホありきの人が多いじゃないですか。そのせいか、会話によるコミュニケーションが枯渇している気がするんです。そんな時代に少しでもリアルのコミュニケーションツールとして『フチ子』が役立っていたとしたら嬉しいです」(古屋氏)

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